危険視されている消毒液の効果不足とは?
ここ最近、コンタクトレンズ使用者に不安の波紋が広がっています。
おそらくさまざまなニュースで取り上げられている保存液の消毒効果不足の件、またそれに伴ったアカントアメーバ角膜炎発症の警告によるものです。
国民生活センターの発表によると、2004年度以降の5年間で、コンタクトレンズやレンズケア用品のトラブルは計448件。その中に、アカントアメーバ角膜炎になり、洗浄液の殺菌力が不十分だったのでは…と眼科から指摘されるといったケースがありました。
知らない人も多いかもしれませんが、ソフトコンタクトの保存液には3種類あります。過酸化水素タイプと、マルチパーパスソリューション(MPS)タイプ、煮沸タイプです。そして今回問題になっているのは、ほとんどのソフトコンタクトレンズ利用者が使用しているだろうMPSタイプ。MPSタイプは一本で消毒、保存ができる便利さが売りですが、アカントアメーバに対する効力は過酸化水素タイプ(過酸化水素によって消毒・中和をしていくタイプ)よりも劣ります。
依頼を受けた日本コンタクトレンズ学会は、8社の保存液をテスト。液の中に浸したアカントアメーバの減少度合いを測定しましたが、過酸化水素タイプと同等の消毒効果を発揮できたのは、その中でも、レニューとエピカゴールドのわずか2商品だけでした。
<消毒効果が十分でない>
コンプリートダブルモイスト(エイエムオー・ジャパン)▽バイオクレンゼロ(オフテクス)▽シードゥソフトケア(シード、日油)▽フレッシュルックケア10ミニッツ(チバビジョン)▽オプティ・フリープラス(日本アルコン)▽ロートCキューブソフトワンモイストi(ロート製薬)
<過酸化水素などと同等効果>
レニューマルチプラス(ボシュロム・ジャパン)▽エピカコールド(メニコン)
レニューやエピカは、多くの眼科で使われているMPSです。塩酸ポリヘキサニドといって、他国ではプールの消毒剤として使用されている眼に対する安全性の高い成分も配合されています。しかし一部のシリコン素材のソフトコンタクトレンズとの組み合わせによっては、角膜上皮障害が発生するなど、トラブルが起きた事例もあるようです。
アカントアメーバへの消毒効果が優れているからといって、一概にこの2商品を使え!と言い切ることはできません。MPSにはコンタクトレンズとの相性があります。
いったいどれを使えばいいのかわからない方は、自己判断で決めてしまうより、コンタクトを処方してもらった眼科医に相談し、自分のコンタクトに合ったMPSを選ぶことが重要になってくるでしょう。
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