オルソケラトロジーのリスク

オルソケラトロジーは、最新医療のひとつでありながら、まだまだ発展段階にある医療分野です。オルソケラトロジー自体は、本場のアメリカでは、30年以上の歴史を持つ治療法ですから、それなりの実績と安全性が保障されていると考えられます。しかしながら、日本での歴史はまだまだ浅く、オルソケラトロジーの診療をすることができる病院の数はそれほど多くはありません。オルソケラトロジーの施術を受けるリスクはここにあるといえるでしょう。つまり、もしも何かしらのトラブルが起きてしまったときに、日本では前例が少ない分、適切な処置をすることができるかどうか、不安が残るということです。しかし、これはどんな最新医療においても言えることですから、オルソケラトロジーだけがそうだというわけではありません。

しかしながら、完全にリスクがない治療法であると、言い切ることができないのが現状です。オルソケラトロジーは、基本的に患者が自ら毎晩自分の手で矯正器具である専用の特殊コンタクトレンズを目に入れることによって、治療をしていくものです。毎晩必ず専門医が傍で付き添っているわけではありませんから、コンタクトレンズの管理なども含めて、患者が自らしなければならないことはたくさんあります。毎日しっかりとコンタクトレンズのケアをしたり、目や手を清潔な状態に保って、付けたり外したりすることができるのが前提になりますので、それが難しい場合にはオルソケラトロジーの施術を受けることも難しくなります。どんな治療にでも言えることですが、正しい方法で施術をすることができなければ、どんなに安全なものでもリスクは生まれるものです。

オルソケラトロジーに限らず、コンタクトレンズを使用することで、目に結膜炎のような症状や目が乾燥してしまう症状が出てしまわれる方がいらっしゃいます。そういった症状が出てしまわれる方の場合、オルソケラトロジーの専用レンズを使用されることでも普通のコンタクトレンズを使用されたときに現れるような症状が出ないとも言い切れません。コンタクトレンズは目の中に直接いれる矯正器具になりますから、それなりのリスクを伴っていると考えられます。オルソケラトロジーで使用するレンズは少しずつ発達していますから、だんだんと安全性の高いものになりつつあります。しかし、もともとコンタクトレンズが向かない方にとってはレンズを目に入れる必要があるオルソケラトロジーは向かない治療法であるともいえますし、何らかのトラブルが起きてしまうことも考えられますので、注意をしていただきたいと思います。コンタクトレンズを使用することで何らかのトラブルが起きた経験のある方は、施術前にお医者様とよくお話をされてから施術をするか否か決めていただきたいと思います。

オルソケラトロジーは、レンズを寝ている間に目に入れて角膜を一時的に平らな状態にすることで、正視に近い状態で目が見えるようにする治療法です。オルソケラトロジーは基本的に目を圧迫することがない状態で寝ていただくことが前提になっているものですので、どうしてもうつ伏せでないと眠ることができないという方にも、あまり向いている治療法であるとはいえません。オルソケラトロジーのレンズを着用したまま、うつ伏せで寝てしまいますと、レンズが圧迫されてしまう可能性もありますし、場合によっては、平らにしたい角膜の中心部分ではなく、少しずれた部分を平らな状態に矯正してしまうこともあるかもしれません。そうしますと、しっかりと矯正がされていないことになってしまいますので、きちんと見える状態にすることができなくなってしまうことがありますので、注意が必要です。

また、オルソケラトロジーで使うレンズは、ある程度の着用の目安時間というものがあります。例えば、一日6時間程度を目安に寝ている間に着用することが前提で作られたレンズの場合、あまり長い時間レンズを着用したまま寝てしまいますと、場合によっては少し遠視の状態になってしまうこともあります。基本的にはレンズはオーダーメイドで作られているものですので、平らな状態になる形は一定のものになるはずなのですが、あまりにも長時間つけすぎてしまうことは非常にやわらかい角膜に必要以上に強い癖付けをしてしまうことになりかねませんので、注意をしていただきたいと思います。また、反対に睡眠時間が非常に短い場合では、矯正がうまくいかず、あまり長時間にわたって効果を持続することが難しい場合もあるようですので、注意していただきたいと思います。ある程度規則的な生活を送っていらっしゃる方であれば、それほど問題はない事柄だとは思いますが、生活が非常に不規則なお仕事をされている方や短い仮眠をとることが多く、まとまった睡眠時間を確保することが難しいという方には、あまりオルソケラトロジーは向いていないのではないかと思います。

オルソケラトロジーは、目にレンズを入れて眠る施術であるということ、そしてある程度まとまった睡眠時間をとることで角膜を矯正する施術であるということ、そしてまだまだ新しい施術であるということを頭に入れて、施術に臨んでいただきたいと思います。

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